Eの彼女-1

24回目の誕生日から1カ月が過ぎた。
そんな今日、誕生日を題材に、一つ、妄想を語ろう。




Eをイニシャルに持つ、ある女性の名前には少し思い入れがある。
それは、その名前を持った女性との出会いが俺の人生に何らかの影響を残していったからだ。
それも一人ではなく、同じ名前を持つ何人かがそれぞれ違う形で。



冷静に考えれば、それほど不思議なことではないかもしれない。
その名前は日本人女性にありふれた名前なのだから。
だけど、…



最初に出会ったEの女性、それは幼稚園来の同級生だった。
いわゆる幼馴染。
以来中学まで同じ学校で、その関係性はある一つの友情の形として育まれていった。
少なくとも俺はそう感じている。


高校は違ったけれど、彼女とは何度か学校帰りに会っていたし、よく電話なんかもした。
ひょっとしたら…、
いや、
恐らく彼女は俺が好きだったのだろう。恋愛感情を持って。
それは俺の自惚れかもしれないけれど、そんなふうに感じなかったと言えば嘘になる。


でも、俺は彼女に対して恋愛感情を抱けなかった。
全くだ。
彼女のことが嫌いなわけではない。むしろ好きだと言っていいだろう。
けれど、それは決して恋愛感情では無かった。


そんな俺の態度が透けていたのか、結局彼女とは良好な友人関係を続けられていた。
ともに大学に進み、彼女は京都、俺は東京へ。
お互い新しいコミュニティを築いていったし、物理的な距離の問題もあって、会うことも無くなった。
ただ年に3度、年始の挨拶の年賀状とお互いの誕生日に送る簡単なメールだけは儀式のように続けられていた。
まるで宇宙空間を進む物体のように。



24回目の俺の誕生日、毎年当然のように送られてきていた彼女からのメールは無かった。


on going